結論: 履歴書は「手書き必須」でも「全部埋める書類」でもない

履歴書には、長く語られてきた思い込みがいくつもあります。手書きでなければ失礼、空欄があると熱意が疑われる、性別は必ず書くもの。どれも、いまの標準では正しくありません。

背景には様式そのものの変化があります。2020年に日本産業規格(JIS)の規格票にあった履歴書の様式例が削除され、2021年には厚生労働省が新たな履歴書の様式例を公表しました。この様式例では、性別欄は任意記載とされ、通勤時間や扶養家族、配偶者に関する項目は設けられていません。

つまり、いま求められているのは「形式を守り抜いた履歴書」ではなく、応募先が必要な情報を正確に読み取れる履歴書です。この記事では、2026年時点での書き方を項目ごとに整理します。

手書きとパソコン、どちらで作るか

結論として、応募先から手書きの指定がなければパソコンで作成して問題ありません。多くの企業が応募書類をデータで受け取るようになり、印刷して手書きする手間のほうが例外になりつつあります。

パソコン作成には実務的な利点もあります。

  • 誤字の修正が簡単で、書き直しの手間がない
  • 応募先ごとに志望動機や希望欄を入れ替えられる
  • 職務経歴書とフォントや書式を揃えられ、読み手に統一感が伝わる

ただし、応募要項に「手書きで」と明記されている場合は、その指示に従ってください。指示に従えるかどうかも見られています。

様式の入手方法

様式は次のいずれかで用意できます。

  • 厚生労働省が公表している履歴書の様式例(公式サイトから入手できます)
  • 学校のキャリアセンターが配布する指定様式(新卒の場合はこれが優先されることがあります)
  • 就職・転職サービスが配布している様式
  • 履歴書を作成できるアプリやサービス

新卒で学校指定の様式がある場合は、まずそれを使うのが無難です。指定がなければ、厚生労働省の様式例に沿ったものを選べば、項目の不足を心配する必要がありません。

写真の選び方

写真は、書類のなかで唯一の視覚情報です。ここで手を抜くと印象を損ねます。

  • 撮影から3か月以内のものを使う。髪型が大きく変わったら撮り直す
  • 服装はスーツか、応募先に合わせた落ち着いた服装。上着とシャツの襟を整える
  • 背景は白か薄い青。無地であることが条件
  • 表情は口角を軽く上げる程度。真顔よりわずかに柔らかいほうが伝わりがよい
  • スピード写真より、可能なら写真店やスタジオ。明るさと肌の写り方が違ってきます
  • データで提出する場合は、指定のサイズと形式を必ず確認する

スマートフォンで撮る場合も、正面からの明るさを確保し、背景を無地にすれば十分に使えます。逆光と真上からの照明だけは避けてください。

項目ごとの書き方

氏名・生年月日・住所

氏名はふりがなを含めて正確に書きます。住所は都道府県から、建物名と部屋番号まで省略せずに記載します。連絡先は、自分が確実に受け取れるものを書いてください。在職中の方は、会社のメールアドレスを絶対に使わないこと。個人のアドレスと私物のスマートフォンに統一します。

年号は西暦と和暦のどちらでもかまいませんが、書類のなかで統一してください。生年月日と学歴で表記が混ざっているのは、見落としの多い減点ポイントです。

学歴

学歴は入学と卒業を行を分けて書きます。高校から書き始めるのが一般的で、学部・学科・専攻まで正式名称で記載します。「高校」ではなく「高等学校」と略さずに書くのが基本です。

職歴

新卒で職歴がない場合は「なし」と書きます。空欄にせず「なし」と書いたうえで、次の行に「以上」と入れるのが丁寧です。

転職の場合は、会社名、在籍期間、事業内容、担当業務を簡潔に記載します。詳しい業務内容と実績は職務経歴書で書くため、履歴書側は経歴の事実に絞ります。書き分けの考え方は「[職務経歴書の書き方 20代向けテンプレと見本](/blog/shokumu-keirekisho-kakikata)」で解説しています。

免許・資格

正式名称で、取得年月とあわせて記載します。応募先の業務に関係するものを上に置くと読みやすくなります。取得予定の資格は「〇年〇月取得見込み」と書けます。

志望動機・自己PR欄

欄が用意されている場合は埋めます。ここは応募先ごとに書き換える部分です。組み立て方は「[志望動機の書き方 企業研究が浅くても書ける](/blog/shibo-doki-kakikata)」と「[自己PRの作り方 強みがない人の手順と例文](/blog/jiko-pr-tsukurikata)」を参照してください。

本人希望記入欄

ここは「特になし」で済ませて構わない欄ですが、どうしても伝えるべき事情がある場合に使う欄でもあります。

  • 勤務地の限定など、譲れない条件がある場合(家庭の事情などを簡潔に)
  • 在職中で連絡可能な時間帯が限られている場合
  • 複数の職種で募集があり、希望職種を伝える必要がある場合

給与や休日の希望を細かく書き並べるのは避けます。条件交渉は選考が進んでから行うのが順序です。

性別欄と、書かなくてよい項目

厚生労働省の様式例では、性別欄は任意記載の扱いです。用意された欄に記載するかどうかは応募者が選べます。同様に、通勤時間、扶養家族の人数、配偶者の有無といった項目は、この様式例には設けられていません。古い様式にこれらの欄がある場合、応募先から指定がなければ記載は必須ではありません。

判断に迷ったときは、その情報が業務に必要かどうかを基準にしてください。必要な情報であれば、企業側から改めて確認があります。

空欄の扱い

空欄が残ること自体は問題ではありません。ただし、読み手が「書き忘れなのか、該当がないのか」を判断できない空欄は避けてください。

  • 該当がない場合: 「なし」と書く
  • 該当するものがない欄で、様式上埋める必要がない場合: 空欄のままでよい
  • 迷ったとき: 「特になし」と書けば誤解が生まれません

逆に、無理に埋めようとして根拠のない内容を書くのは避けます。事実と違うことを書かないのが最優先です。

提出前のチェックリスト

  • 誤字脱字、氏名と会社名の漢字に誤りがないか
  • 西暦と和暦が書類のなかで統一されているか
  • 学歴と職歴に年月の抜けや矛盾がないか
  • 連絡先が、自分が確実に受け取れるものになっているか
  • 写真のサイズと向きが正しいか。データ提出ならファイル形式も確認
  • 志望動機が応募先に合わせて書き換えられているか
  • ファイル名が指定どおりか(指定がなければ氏名を入れる)
  • 提出方法と期限を守れているか

印刷して提出する場合は、折り曲げずに入る封筒を使い、書類の向きを揃えて入れます。データ提出の場合は、PDFに変換してから送るのが一般的です。

まとめ: 形式より、正確さと読みやすさ

2026年時点の履歴書は、手書きも、すべての欄を埋めることも必須ではありません。様式例に沿って、事実を正確に、読み手が迷わない形で書く。これが評価される履歴書の条件です。思い込みの作法にとらわれて時間を使うより、志望動機と自己PRの中身に時間を配分してください。

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